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第2回Hack Izumoを開催!

第2回Hack Izumoを開催!

外国人人材の採用・活用を検討する出雲市内外の企業22社31名が観覧。 3名の東欧エンジニアが内定/内々定を獲得。

 

株式会社People Cloud(本社:島根県出雲市、代表取締役:牧野寛)は、東欧の高度IT人材日本移住プログラム「Hello, Yaponiya」および出雲進出を目指す市外IT企業向けコワーキングスペース「Izumonomad」を運営しています。2024年7月1日から7月14日までの2週間、Hello, Yaponiya第2期生を出雲市に招き、日本滞在プログラムを実施しました。

7月11日には、出雲市の社会課題をテクノロジーで解決するハッカソン「Hack Izumo」の成果発表会「DEMO Day」を開催。22社31名の企業関係者が観覧し、3名の東欧エンジニアが内定または内々定を獲得しました。

Hello, Yaponiyaプログラムの詳細

Hello, Yaponiya日本滞在プログラムでは、東欧のエンジニアたちが日本での実生活を送りつつ、企業訪問や市内散策を通じて、日本での生活イメージを深めることを目的としています。参加者は日本語のオンライン授業を6ヶ月間受け、スピーキングテストに合格した後、2週間の日本滞在プログラムに参加します。

プログラムの初週には出雲市長への表敬訪問や県内IT企業訪問、採用担当者との会食、観光地視察を行い、2週目にはハッカソンの準備に本格的に取り掛かります。各チームはフィールドワークを行い、アプリ使用環境の確認・調査を行った後、プロトタイプを開発し、DEMO Dayで発表します。

◼️出雲市で行われる社会課題解決型ハッカソン「Hack Izumo」DEMO Day

今回のHack Izumoでは、出雲市で実際に地域の課題として挙げられている3つを開発テーマとして設定しました。3人1組でチームを組み、約2日間という極短い時間で実装していきます。

<3つの開発課題>

1.「日本で就労を目指す外国人エンジニア向けの英和翻訳ツール」

日本語指導が必要な児童生徒への支援のために

2.「外国人児童向け授業の時間割作成の効率化」

3.「外国人児童向け授業の教科書多言語化」

DEMO Dayでは、企業22社31名、教育委員会2名、県外学生2名の参加があり、メモを取りながら東欧のエンジニアの発表に耳を傾けていました。

エンジニアが発表している様子

チームA: 日本で就労を目指す外国人エンジニア向けの英和翻訳ツール

「日本で就労を目指す外国人エンジニア向けの英和翻訳ツール」の開発を担当するチームAは、業界や事業内容に沿って独自のプロンプトを設定できるAI翻訳ソフト「日本当(読み:にほんとう)」を開発しました。 

日本の企業で働く外国人は、自動翻訳サービスを使用して同僚や上司とコミュニケーションを取ることが多いですが、実際の働く現場では訳出内容の最適化がまだまだ進んでいないのが現状です。訳出された日本語が現場で使用される専門用語と一致していない、伝えたい意味通りに翻訳されない、語調がバラバラになるなど、多くの課題があります。

チームAが開発した、AI搭載型翻訳ソフト「日本当」のユニークな点は、自動翻訳サービスに管理者機能を追加したことです。これにより、管理者は、自社の事業内容やその企業が置かれている業界に応じた専門用語や独特な言い回しを設定することができます。外国人エンジニアが翻訳したい文を入力すると、管理者が設定したプロンプトに沿った内容の日本語を出力することができます。これにより、従来の自動翻訳サービスの使い方を保ちつつ、より精度の高い、その場に応じた訳出が可能となります。

チームAが開発したソフトのデモ画面

開発したエンジニアたちのコメント 

「トークン(文字数)の使用量について、設定可能なレート制限システムを実装しており、管理者は設定した時間ごとに最大使用可能数を設定することが可能です。制限を超えると、アカウントはしばらくの間ブロックされます。将来的には管理者のために使用量などのデータを収集し、表示することが可能になるかもしれません。これは経費の管理に役立ちます。」

チームB: 外国人児童向け授業の時間割作成の効率化

「外国人児童向け授業の時間割作成の効率化」のための開発を担当するチームBは、自動で時間割を作成できるソフトを開発しました。本ソフトでは、数学、国語、理科などの通常授業に加えて、日本語の学習が必要な外国人児童向けの切り出し授業も同時に考慮し、時間割を自動生成することができます。

このような日本語指導を受けている外国人児童数は、出雲市内で134人というデータがあります。このような出雲市内の日本語教育において拠点校となっている小学校を訪問し、フィールドワークを行いました。

現在の小学校では、先生方が学年、日本語レベル、各科目の習熟度などを考慮してクラス分けを行い、年度のはじめに授業の時間割を作成しています。現場での課題は、通常授業との兼ね合い、1クラスあたりの人数、先生ー生徒の相性など、時間割作成に関わる条件が通常よりも多く、作成に時間がかかり、先生たちの業務を圧迫していることです。

今回開発されたアプリでは、教師の勤務時間や生徒の日本語レベルなど様々パラメーターを考慮して、時間割が作成されます。また、一度に1人の教師が担当できる生徒が3人以下、かつ、科目は2つまでであるかをシステム上で自動的に判別した上で授業の登録される設計になっています。

チームBが開発したソフトのデモ画面

開発したエンジニアたちのコメント

「実際に小学校に訪問してみて、生徒間の関係が授業の質に関係するということを学び、ソフトにあまり仲が良くない生徒が同じクラスにならないよう考慮する機能を追加しました。」

「いままで使用していたソフトは古いバージョンのOSでしか機能しなかったため、わざわざ古いパソコンを購入、使用する必要がありましたが、このソフトはオンラインで起動するため、常に最新のOSで利用することができます。」

チームC: 外国人児童向け授業の教科書多言語化

「外国人児童向け授業の教科書多言語化」というテーマで開発を担当したチームCは、教科書に出てきたわからない単語をスマホで撮影するとイラスト付きで訳出してくれるアプリ「検索先生(読み:けんさくせんせい)」を開発しました。

低学年の外国人児童は新しい単語や難しい概念そのものを、母国語を介さずに日本語で理解していく必要があります。そのため、易しい日本語に置き換えて口頭で説明するか、写真などのイメージを見せながら説明するなどの工夫がなされています。そのために、各学校には、通訳・翻訳支援員がいますが、人数も限られており、英語も母国語も分からない児童に対しては、現場では翻訳アプリなどを使ってコミュニケーションしてますが、精度は決して高くありません。

 今回開発された「検索先生」では、生徒が教科書内で知らない単語に出会った時、その部分のページの写真を撮ります。その写真をアップロードすると単語の頻出度に応じて、どの単語が翻訳対象なのかを自動的に判断します。訳出された単語をリスト化し、英語も母国語もわからない児童向けに単語とセットでイメージイラストも表示します。

チームCが開発したソフトのデモ画面

 開発したエンジニアたちのコメント

「言葉の認識にはTeseractを使用しました。これは生成AIに比べて無料かつ高速であるため、導入のハードルを下げるのと、実際の使用環境に適していると考えたからです。」

「単語の使用頻度を判断するために、Pythonスクリプトの頻度辞書と、日本語テキストを操作する為のmecabやunidicモジュールを使用しました。」

「webサイトとアプリの両方を開発し、画像や単語帳など、様々なファイルをダウンロード出来るようにしました。これにより一つのアプリで様々なことが可能になり、アプリケーションとしての価値を上げています。」

Demoday終了後、People Cloudが運営するコワーキングスペース「Izumonomad」にてご来場頂いた方々とエンジニアの交流が行われました。

東欧のエンジニア、企業関係者、People Cloudスタッフの集合写真

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